在宅復帰サポーターの道

~老健の仕事の中身を解明分析~

多職種同士で連携するためのコツ

老健では、医師や看護師だけでなく、介護士やリハビリスタッフなど、複数の職種の人達が一緒に入居者のケアに当たっています。看護師はその中で、調整役、意見のまとめ役になることが多いです。ただ、それぞれの職種で考え方が違っているときには、調整が難しいこともあります。

複数の分野の専門職の人達がうまくやっていくには「IPE」という考え方が役立ちます。これは、医療福祉分野の専門職同士が同一の場でお互いに学び合うことを目指すものです。IPEを実践するには、意見や情報の交換を行った上で協力すること、そしてそれぞれの専門性を重視するとともに、状況に応じて各専門職が柔軟に対応して協働することが必要とされています。

例えば、看護師であれば、看護メインの自分の仕事を全うすると思いますが、時に介護士の様子を見て手助けをするなど、柔軟に働く必要があります。それは仲間意識を高めるだけでなく、他の職種について理解を深めることにも繋がるからです。

当然ながら、学んできた環境が異なれば、考え方や価値観は人それぞれ違ってきます。そんな中、全員が連携してより良いケア・サポートを行うためには、一人ひとりが多職種に対するリスペクトの気持ちを忘れないようにすることが重要な部分になってきます。

また、老健で働く看護師は、病院に比べて医療行為に携わる機会が少なくなるため、「スキルが十分生かせない」「スキルが後退してしまう」と感じることもあるといいます。医療分野をしっかり磨きたいのなら、病棟などへの転職を検討した方が良いかもしれません。

ただ、それでも老健でスキル向上していきたいのなら、勉強会などに参加してみると良いでしょう。新人看護師を対象としたもの、ベテラン看護師を対象としたものなど色々な人向けの勉強会があるため、自分のレベルに合った勉強会を選びましょう。

もう一つの方法として挙げられるのが、特定行為研修を受けることです。研修を受ければ、医師が不在でも医師の作成した指示書に従って、診療補助ができるようになります。医療のポイントを深く学べる上、自分で医療行為を施せる形になれば、さらに円滑に働くことが可能になるでしょう。